ゆるっと観劇録

ひたすらに観たものの感想メモ

【舞台感想】三銃士企画『両国花錦闘士』

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◯観劇日
2020/12/20 マチネ(明治座)

◯感想
た、た、た、たーーーーーのしかったーーーーー!!!
ギラギラのオープニングで心臓掴まれたが最後、ビッグウェーブに取り込まれたまま一幕が終わり、二幕が終わり、カーテンコールでは上着が床に落ちたのにも気づかない勢いでスタオベをしていた。家に帰ってきた今も手拍子と拍手で働きどおしだった掌がジンジンしている。
もう、良い、とにかく良かった。

原作も知らず相撲も知らず、役者陣もあまり確認せぬままなんとなく取ったチケットだったけれども、もう本当〜〜〜〜に良かった。
(強いて言えば私は劇団⭐︎新感線が好きなので、ヴィレッヂなら絶対楽しいに違いない!と思ってポチりました。期待通りっていうか期待以上の面白さーーー!!最近出費が多かったし今回は財布と相談して諦め……なんて冷静なムーブをしなかった過去の自分を褒めてあげたい!)

エンタメ業界が(やるほうも、観客も)苦しかった2020年、こんなにめでたくてハッピーでパワフルな舞台で年忘れができるなんて。
熱いものが喉をこみ上げてきて、本当に良いものを観た、良いものを観た!!!の気持ちで帰路についた。
両国花錦闘士を届けてくださった全ての方に大大大大感謝……

このお話は、俗っぽい視点で捉えれば、男と女の欲望のお話。一歩引いて捉えれば、神事であり勝負であり芸能である相撲に生きる人達の、美や祈りのお話。それが一緒くたになって、ギラギラの照明にノリノリの音楽、まわし姿の力士にクセの強い女の子たちにその他関係者各位が歌って踊って騒ぎまくる!こんなに楽しいことがあっていいのか!?!?

力士に熱狂する人々と芝居に熱狂する私たちは同じ観客。後半はもう土俵の上で組み合う彼らを手に汗握って応援してしまい、間違いなく相撲を観ていた瞬間があった。というか、もう、相撲が観たい!相撲が観たくなる舞台です!!相撲ファンの友達に連れて行ってもらおう……


頭のいい感想は書けないので、ここから先はもう印象に残ったところを箇条書き。

・昇龍役の原さんが紛うことなき太陽だった。0番に立つ姿がギラギラ光っていて、引き締まった身体が生命力に溢れていて、歌も踊りもキレッキレで、二階席からでもよく分かる眼光の力強さ。座長!!座長かっっっっっこいい!!!

・出てくるキャラクターがとにかく男も女も魅力的で困っちゃったな。特に桜子なんて、りょうさんのかっこいいところ強いところセクシーなところやばいところ全部詰めの豪華盛り!あああああやめてーーーーー大好きです大好きです。

徳永ゆうきさんの声が良い。とにかく良い。さすが演歌歌手。須藤王好きです。独自の戦略でどうか長く長く生き残って欲しい。
 というところまで考えて、角界という世界に思いを馳せてグッときてしまった……何人もの若者が挑み、そのうちの何人もが生き残れず、一握りの者だけが上へ上り詰めていく勝負事の世界。そうか彼らは皆そんな世界で生きているんだよなぁ。

・声といえば大原櫻子さんもめちゃめちゃに聞きやすくて良かった〜〜!当たり前だけど歌がハイパー上手い。台詞もちょっと低めのキュートな声で、気が強めで明るい淳子ちゃんに何度か惚れました。ラブコメ的なシーンと昇龍の求める「美」について語るシーンのギャップがたまらなかったな。そういうの大好きです。

・雪乃童が沙耶香と二人で話すシーンがお気に入り。雪ちゃんも沙耶香も格好いいよ。パンフレットでも大鶴さんが似たようなことを語っていらっしゃったけど、どこかふわっとしているように見えた雪乃童が、自分は何のために相撲を取るのかを掴んでいくような成長が、見ていてとても楽しい。実際ちゃんと昇格していくところも格好いいよ。

・これでもかーーーー!というくらい、肌色、肌色、肌色のダンスシーンが続くのが言葉に言い表せない迫力があって、たまらなかったな。身ひとつ、まわしひとつで舞台に立って大勢の視線を集める役者さんたちが本当に格好いい。振り付け照明も音響もバシバシ脳にキマッてくるので訳の分からない涙が出てきて本当〜〜〜に楽しい。そこに女性陣も負けず劣らずのパワフルさで加わってくるのでブチ上げ不可避。楽しい!

・祈りのお話っていいな……ほんとに……祈りのお話だった……派手派手ミュージカルに素敵なものがたくさん練り込まれていたせいで、余韻がものすごい。全然言葉になって出てこないや。今年の悲しみや鬱憤をどかーーんと蹴っ飛ばしてくれるようなハッピーミュージカル、好きにならないわけがない。

 


◯公演情報
原作:岡野玲子(小学館クリエイティブ「両国花錦闘士」)
作・演出:青木豪
主題歌:デーモン閣下
出演
原 嘉孝(ジャニーズJr.)/大鶴佐助 大原櫻子
木村 了(特別出演) 入江甚儀 徳永ゆうき 岸本慎太郎(ジャニーズJr.) 根岸葵海(ジャニーズJr.)
大山真志 橘 花梨 加藤梨里香市川しんぺー 福田転球 伊達 暁/
紺野美沙子/りょう

皇希 南 誉士広 梅澤裕介(梅棒) 遠藤 誠(梅棒) 中村味九郎 松田拓磨 遊佐亮介 近藤 廉

両国に爛漫と咲き乱れる力士たちの花舞台・国技館。その土俵の上では、宿命のライバルの取組が始まろうとしている。東はソップ(やせ)型で美形の昇龍[しょうりゅう](原 嘉孝)。西はアンコ(ぽっちゃり)型の雪乃童[ゆきのわらべ](大鶴佐助)。何もかもが正反対な二人だが、思いは同じ。「コイツにだけは負けたくない!」
熱戦を取材するのは、ワールドベースボール社の相撲雑誌の記者・橋谷淳子(大原櫻子)。野球雑誌の記者志望なのに相撲雑誌の担当になった彼女には、相撲の良さがさっぱりわからない。
稽古の合間の息抜きに、雪乃童は付き人たちとディスコへ繰り出すと、密かに想いを寄せる、部屋の一人娘・沙耶香と鉢合わせする。親方もおかみさん(紺野美沙子)も心配してますよ、と窘めるが相手にされず撃沈。
昇龍も力士と分からぬようにオールバックにスーツでディスコを訪れるが、鬢付け油の匂いはごまかせない。その甘い香りに誘われるかのように大手芸能事務所パピーズの女社長・渡部桜子(りょう)が現れる。数多の男たちを欲しいままにしてきた彼女は、出会ったことのないタイプの種族・力士の昇龍を篭絡せんとする。
勝利も美女も手に入れるかに見えた昇龍だが、次第に桜子の歪んだ愛情に翻弄され、不調の力士に惨敗を喫するなど、心に乱れが生じる。
昇龍は桜子の欲望に呑まれてしまうのか。雪乃童との勝負の行方は。
淳子の見つめる土俵には、愛と欲望が乱れ咲く。果たして、その先に見えるものは……。